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ナチュラルサポートの実現

ナチュラルサポート体制構築のための支援

安定した就労と生活の実現においては、職場のナチュラルサポートの実現が非常に重要になります。

ナチュラルサポートとは、「障害のある人が働いている職場の一般従業員(上司や同僚など)が、職場内において(通勤含む)、障害のある人が働き続けるために必要な様々な援助を、自然にもしくは計画的に提供することを意味する。これには、職務遂行に関わる援助の他に、昼食や休憩時の社会的遂行に関する援助、対人関係の調整なども含まれる(小川,2000)」と定義されています。

ナチュラルサポートを形成するためには、就職後の初期段階からその状況をアセスメントする視点を持ちながら、職場内の人的環境や関わり方、コミュニケーションなど多角的な視点からその状況を捉えていくことが必要です。

ナチュラルサポートには、支援者が特段の働きかけがなくとも、自然発生的な障害のある利用者へのサポートが生じる場合もあります。小川(2012)は、「この自然発生的なナチュラルサポートは理想的ではあるが、不安定な側面がある」としています。この自然発生的なナチュラルサポートの継続には、職場の周囲の従業員の業務状況や、人員配置の変更など様々な要因によって困難になる場合もあります。

一方で、計画的なナチュラルサポートは、業務として位置づけられることから、周囲の従業員が変わっても組織の中で安定的に引き継がれていくとされています(小川,2012)。この計画的なナチュラルサポートでは、「職場においてどのような配慮やサポートが必要であるのかを明らかにし、そのための具体的な手段や方法を形づくり、それらのサポートを誰がどのように提供するのかを決めて、職場全体の合意のもと、業務として位置づける」ものである(小川,2000)と説明されています。

ナチュラルサポートの状況を整理するためには、「職場環境の理解と適応のためのサポート」、「上司・同僚との関係に関する状況」、「業務遂行スキルとサポート」、「職場内コミュニケーションの状況」、「チーム全体での障害に対する理解と配慮の状況」、「持続可能なサポート体制の状況」、「従業員の心理的安全性の状況」の7つの視点から捉えることが可能です。この多角的な視点から計画的なナチュラルサポートの状況へどのように働きかけることができるのかという点は、支援者の需要な役割となります。

ナチュラルサポートの状況を整理するための7つの視点.png
*小川浩(2000)ジョブコーチとナチュラルサポート,職業リハビリテーション,13,25-31.
*小川浩(2012)ナチュラルサポートの形成,職業リハビリテーションの基礎と実践,168-169,中央法規出版,日本職業リハビリテーション学会(編集)

ナチュラルサポートの状況のチェックシートの活用

本人の働く職場のナチュラルサポートの状況を把握することは、就労定着支援の終了を見越した段階では必須になってきます。職場のナチュラルサポートの状況によって、生じやすい課題や本人の安定した就労と生活を維持する上で考慮しておくべき点などが整理されます。また就労定着支援の終了後に、特段の必要がある場合には、障害者就業・生活支援センター等の支援機関へ定着支援として引き継ぎを依頼する場合もあります。そうした場合には、こうした職場のナチュラルサポートの状況を共有しながら、丁寧な引継ぎを行い、本人の安定した就労と生活の維持を実現していくことが求められます。

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