就労定着支援の仕組み
障害のある方の就労定着支援を一定期間、継続的に実施する就労定着支援事業所があります。就職までに利用していた就労系障害福祉サービス事業所等(以下、送り出し事業所)には、就職後6カ月間の定着支援を実施することが求められています。
送り出し事業所が就労移行支援事業所の場合は、この6カ月は義務として実施することが求められています。その他の就労継続支援A型事業所、就労継続支援B型事業所、生活訓練(自立訓練)事業所、生活介護事業所から企業就職する場合には、定着支援の実施は努力義務として求められています。
つまり、企業就職後の6カ月以内は、企業就職後の環境変化や生活変化への適応として重要な時期となりますので、この期間は、サービス利用時の本人の様子を十分に理解している支援者が中心となり、就職後の日々のフォローや企業との橋渡しを行うことが重要になります。
就職後6カ月後に、就労定着支援事業所を利用することが選択された場合には、就労定着支援事業所が最長3年間、就労と生活に伴う生活支援を行うことで、本人が職場に定着できるように支援します。
(1) 制度の仕組み
就労定着支援に関わる制度は、 以下の図のようになっています。就労定着支援に関わる事業所としては、送り出し事業所、就労定着支援事業所、特定相談支援事業所(セルフプラン申請による利用の場合は除く)と密接に連携していくことが重要になります。 また令和6年4月からは,送り出し事業所から就職先への移行について、労働時間延長支援型や復職支援型とよばれる,段階的な企業への移行の支援も 整備されたことから、就労定着支援への接続においても,理解しておくことが大切です。

送り出し事業所は、①通常の事業所に新たに雇用された障害者の就労定着支援に係る利用の意向を確認するとともに、②当該障害者に就労定着支援に係る利用の希望があるときは、職場定着のための支援の義務(・努力義務)期間である就職後6月(通常の事業所に雇用された後に労働時間の延長の際に就労に必要な知識及び能力の向上のための支援を一時的に必要とする者として、就労移行支援等を利 用した場合(当該利用形態を以下「労働時間延長支援型」という。)は、当該就労移行支援等の終了日の翌日から起算して6月、休職からの復職の際に就労に必要な知識及び能力の向上のための支援を一時的に必要とする者として、就労移行支援等を利用した場合(当該利用形態を以下「復職支援型」という。)は、復職した日を1日目として6月)経過するまでの間に就労定着支援事業者、特定相談支援事業者その他関係機関との連絡調整に努めなければならないとされています。
詳細は『障障発0329第7号<令和6年3月29日>就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について『https://www.mhlw.go.jp/content/001261445.pdf』を参照。

(2) 労働時間延長支援型
労働時間延長支援型は、企業における労働時間が概ね週10~20時間から段階的に労働時間の延長を想定している場合を対象としています(若林,2024)。労働時間延長支援型の目標が達成されて(=目標としていた勤務時間まで移行して)終了となった場合、まず、終了後の6カ月は、労働時間延長支援型の支援を行っていた就労系障害福祉サービス事業所による定着支援の期間となります。この6カ月の後も継続して定着支援が必要な場合には、支援機関(就労定着支援事業等)に対して早期から連絡調整を行い、次の段階に向けての準備を行っていく必要があります。就労定着支援事業所の利用が開始できるのは、送り出し事業所の利用終了日の翌日から6月後からとなります。

(3) 復職支援型
復職支援型は、通常の事業所に雇用されている障害者であって、休職からの復職の際に就労に必要な知識及び能力の向上のための支援を一時的に必要とするものを対象に、令和6年3月29日付「就労移行支援事業、就労継続支援(A型、B型)における留意事項」に記載されている利用条件を満たしている場合に利用できます。復職支援型の目標が達成されて終了(=目標としていた復職になる)となった場合、まず、復職日翌日から6カ月は、復職支援型の支援を行っていた就労系障害福祉サービス事業所による定着支援の期間となります。この6か月間の後も定着支援が必要な場合には、支援機関(就労定着支援事業等)に対して早期から連絡調整を行い、次の段階に向けての準備を行っていく必要があります。就労定着支援事業所の利用が開始できるのは、復職した日を1日目として6月後からとなり、最長復職後3年6カ月までです。

