サービス終了後の目指す「職業人として自立し、自走できる姿」

就労定着支援では、サービス終了後の姿として「職業人として自立し、自走できる姿」を目指すことが示されており、入職後から最長3年6か月をかけてこの自立した姿の構築を目指していると言えます。
この「職業人として自立し、自走できる姿」とは、決して他者からの支援や環境調整を必要としないという自立の姿ではなく、自らの日々の職業生活に必要な工夫や環境調整を理解し、状況や場面、抱える課題に応じて支援者や周囲に相談やサポートの依頼ができる姿を指すものです。つまり自分に必要なサポートを周囲の支援者から受動的に提供されるものではなく、自分の必要な支援を周囲へ伝えリクエストする能動的な行動ができる姿を目指すことが大切になります。
ナチュラルサポートを形成するためには、就職後の初期段階からその状況をアセスメントする視点を持ちながら、職場内の人的環境や関わり方、コミュニケーションなど多角的な視点からその状況を捉えていくことが必要です。
この「職業人として自立し、自走できる姿」に至るには、本人の職業人として日々働くことの慣れを中心の課題とする模索期があります。その時期は、支援者は日常の様子を把握しながらつながり続けることを目指す伴走型支援を意識した支援が求められます。この模索期を経て、本人の職業人としての慣れが進みつつ、必要な調整を再度実施する順行期・調整期では、伴走型支援から支援ニーズが高まるタイミングで支援するスポット型支援へその支援アプローチが移っていくようになります。
こうした時期を経て、本人の職業人としての慣れが安定し、自分でできる工夫や調整場面が拡がり、自立の拡大がみられる時期である、安定期・自立拡大期には、支援者は日々本人の様子をモニタリングしながら必要なタイミングを確認しながらそのタイミングに合わせてスポット型支援を実施していくことが求められます。この安定期・自立拡大期では、就労定着支援の終了を見越して、本人自らが支援が必要だと感じた場面があった場合、不調や不安を感じた場合に、周囲へ本人なりの方法で、自ら発信し、伝えられる力を活かして、問題や課題を解消していく姿勢を高めていくことが必要な時期になります。この自走期・支援離脱期は,支援者は、本人からの発信に対して、リクエストに応じるリクエスト型支援を中心とする支援に移行していきながら、就労定着支援終了後も、安定した就労と生活のために、本人が困った場合や悩んだ場合、問題や課題が生じた場面において、周囲へ状況を伝え援助要請や自ら解決へ導くためのきっかけを作れる力を高めていく支援であることに留意することが大切な時期になります。
