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質の高い支援のための工夫のポイント

質の高い就労定着支援を実現するためのポイントとして、代表的なポイントとして「支援の見える化」、「ネットワークによる支援」、「本人のマインドの設定」があります。この3つのポイントを意識して就労定着支援を行うことで、結果として安定した就労と生活を実現することに繋がり、質の高い就労定着支援を実施することが可能になります。

Point1:支援の見える化

就労定着支援のおおまかな全体図_edited.png

質の高い就労定着支援のためには、月に1回程度の本人との面談や確認だけでは、本人の状態の把握や職場での状況の把握、日常生活の安定の程度などを十分に行うことは困難になります。

一方で定着支援事業所の職員体制や事業所運営の状況などから、対面での支援の頻度を増やしていくことだけをその解決策として取り組むことは困難です。

大切なことは日々の本人の状況や職場の状況の把握を適切に適宜捉えることができ、支援のタイミングとその介入の程度の最適化を試みることです。

そのためには、電話やメール、対面の支援に加えて、次の面談や確認日までの本人の状況などの情報の隙間を埋めていくことが大切です。この日々の本人の状態の見える化には、日報管理や労務管理等の入力ができるデジタルツールが効果を発揮することがあります。

特定の障害者の雇用管理や日報入力等を通じて支援をするツールもあれば、オンラインフォームなどを用いて、毎日日報入力をすることで、その情報を事業主と支援者側で共有するという方法で、利用者の日々の状態と職場の状況を把握し、就労定着支援事業所の支援として適切なタイミングで支援を実施できることが期待されます。

Point2:ネットワークによる支援

本人の安定した就労と生活を実現するためには、複層的なネットワーク支援の体制を構築し、本人を含めた支援に関わる関係者間でそのネットワークを理解していることが大切です。このネットワークの中心は、あくまでも利用者本人となりますが、企業内のネットワークと就労定着支援事業所と福祉・医療のネットワーク、地域資源のネットワークが複層的に構築されていることが大切です。このネットワーク内では、情報交換や相談ができ、状況に応じては、具体的なサポートやフォローが実施されることがその機能として求められます。

企業内のネットワークは、職場内の同僚や上長など本人の職場の関わり手を中心とするネットワークです。そして就労定着支援事業所と福祉・医療のネットワークでは、就労定着支援事業所や送り出した事業所、計画相談支援事業所、地域活動支援センターなどのこれまでに本人に関わりのある福祉の関係機関や、訪問看護や医療機関などの本人とかかわりのある医療を含めた関係者で構築されるネットワークです。

地域資源のネットワークは、本人の余暇活動や日常生活、地域生活として市民として生活を送るうえでの本人とつながりのある関係者や組織で構成されるネットワークです。

就労定着支援事業所は、この企業内のネットワークと地域資源のネットワークの複層的ネットワークをつなぐハブとしての機能や役割もあります。本人の状況やニーズやそのニーズの変化に応じてこれらのネットワークと協働しながら本人が安定した就労と生活を実現できるように働きかけていくことが大切です。

定着支援のネットワーク図.png

Point3:本人のマインドの設定

職業人としての自立のステップ.png

就労定着支援の利用サービス開始において、利用者本人がどのようにその目的やねらいを理解しているのか、就労定着支援サービスは、いわゆる「お守り」としての機能としての安心感を得るための支援ということだけを目的とするものではなく、あくまでもサービス終了後に、その働く本人なりの自立した姿を目指すためサービスであり、これまでの「働くことを目指す」ための訓練ではなく、「働き続けられ、安定した就労と生活を実現する」ための訓練の要素が含まれるサービスであることを理解することが大切です。

サービス利用開始時には、本人と就労定着支援事業所、雇用先となる企業との間で、サービス利用後の最長3年後の姿として、自分がどのような姿として働けているのかという点を対話して、その共有したイメージとそれに向けた現状の課題や生じやすい課題の予測、課題が生じた場合の工夫の見通しについて、きちんと共有できていることが大切です。

こうした対話を通じたイメージの共有やその利用目的の共有に対して、十分に時間を確保できていない場合には、定着支援事業所の良かれと思う支援にとどまることもあり、利用している本人は、サービス利用にあたり、安心させてもらうお守りとしての役割だけを就労定着支援事業所に求めるような表面的な理解に留まることも考えられます。

就労定着支援サービス利用をすることは、安定した就労と生活を実現し、本人が長い職業人としての人生を通じて自分らしいと感じられるキャリアを重ね、豊かな人生を生きていくことを目指すための訓練的要素のある期間であることを理解していくことが、すべての関わる関係者に求められるところです。

みんなの質の高い就労定着支援の推進

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